ガイアリンク 石井 秀樹|3D仮想空間のメタバースがビジネスにもたらす「新文明開花」とは?
3D仮想空間「Virbela」の日本公式販売代理店ガイアリンク石井社長にインタビュー
2021年10月28日、米SNS大手のFacebookが社名を「Meta」に変更しました。同社の3D仮想空間「メタバース」への本気度を感じる印象的な事件と言えるでしょう。
「DX(デジタル・トランスフォーメーション)」が本格化するなか、Facebookだけでなく多くの企業がメタバースへの注目を高めています。そのメタバース・サービスを日本でいち早く販売しているのが、株式会社ガイアリンクです。
米国初のメタバース「Virbela」の日本公式販売代理店である同社代表の石井秀樹氏に、メタバースがビジネス・今後の世界に与える影響や、同社の今後の展開などについて聞きました。
2019年10月自身の経営コンサルタントの経験を礎に、3Dアバタープラットフォームの開発販売会社、株式会社ガイアリンクを設立。
その後、Virbelaとの出会いをきっかけとし、プラットフォーム販売代理店として方向を転換。現在に至る。
※この記事を書いている「創業手帳」ではさらに充実した情報を分厚い「創業手帳・印刷版」でも解説しています。無料でもらえるので取り寄せしてみてください
この記事の目次
メタバースとは何か?
石井:よろしくお願いします。
「メタバース」とは「3D仮想空間」の総称で、「オンライン上に作られたバーチャル空間」という意味です。
最近ではFacebookも社名を「Meta」に変更してメタバースを強く意識するなど、その潮流が強く感じられるようになってきました。
石井:第一のメリットは、現実世界のオフィスや会議室・ホールなどと同じく、バーチャル空間内を自分自身で自由に動き、自発的に様々な相手とコミュニケーションをすることができる点です。まるで、ゲームのアバターのようにです(笑)
石井:移動することや、話しかけることにより、「雑談」も生まれます。自然に仲間が集まり、会話が始まる。テレワークが推進された背景で、失われつつある「発想の泉」です。
当社のクライアントからは「良いアイデアは喫煙室やフリースペースでのちょっとした雑談から生まれることが多い」という話をよく聞きます。
学校で言えば放課後がこれに当たりますね。コロナ禍でもリモート教育の中で消えてしまったものの一つです。授業や業務が終わったら、別室で何気ないトークをする。
あらゆるコミュニティにおけるその重要性は皆さんもご存知のはずです。そのような場と空間が提供できるのはメタバース空間「Virbela」の大きなメリットです。
石井:「Virbela」には、ZoomやTeamsなどのビデオ会議システムにはない「没入感」という概念があります。じつはこれが一番のメリットで、テレワーク全般におけるコミュニケーションロスを補填するものだと考えています。
「没入感」が高いということは、まるでリアルの世界にいるような感覚で、色々なコミュニケーションが可能となるということを意味します。「没入感」は体験しなければわからないものですので、「Virbela」の世界に実際に入ってみて、体感していただければと思います。
石井:Zoomなどはビジネスマナー的に「顔出し」が必須となっている傾向がありますが、奥手な方の場合、それがリアルより気になってしまい、なかなか積極的な発言がままならないケースがあります。
「Virbela」の研究によれば、アバターを介すことによりそのストレス自体が軽減され、奥手の方の発言が積極的になり、「職場環境が劇的に改善された」という報告もあります。
石井:Facebookは「Horizon」、Microsoftは「Mesh for Microsoft Teams」をそれぞれ手がけています。現段階ではベータ版であったり、未発表部分が多いので、私の推測も含めてお話しさせていただきます。
「Horizon」はさまざまな記事に書かれている通り、ソーシャルVRサービスが基軸となっています。いくら「Meta」に社名が変わったとしても、元はSNSのFacebookですからね。
「ビジネスに重きをおく」という発表もあって我々も驚きましたが、それでも「ソーシャル」という軸から外れていないものであることは確かです。
大きく捉えれば、「メタバース化したSNS」。それが私が「Horizon」に対して抱くイメージです。
対して、Microsoftの「Mesh」は単独空間に特化したメタバース。ホロレンズを視野に入れた利用シーンをメインに展開しています。
ホロレンズが前提となると初期投資費用はかなり高額となりますので、導入障壁が高くなってしまうのがデメリットです。
しかし、トム・クルーズ主演の傑作映画『ミッション: インポッシブル』の有名な一場面さながら、精密機器や図面を3Dで浮かび上がらせてのアイデア出しなどのシーンでは「Mesh」が有効な手段となることでしょう。
メタバース「Virbela」の特徴
石井:「Virbela」は、3Dのバーチャル世界で自身がアバター(自分に似せた人形)になり、そこでオフィス、展示商談会、学校の授業、大規模会議、カンファレンス、音楽ライブなどのイベントを行うことができる画期的なサービスです。
新型コロナウイルスの影響で様々な業態が運営危機にさらされているなかでも、既に北米を中心として、組織・個人を問わず世界中の多くのユーザーによって活用されはじめています。
もともとは、アメリカの不動産会社eXp Realtyが自社オフィスと営業効率化のために開発した自社向けサービスでした。eXp Realtyは、実際に「Virbela」の原型となったその自社サービスを利用しながらビジネスを展開することで、設立から10年でナスダック上場を成し遂げるなど、著しい成長を遂げました。
そのプラットフォームを市場に開放し、展開した製品版が「Virbela」となります。他社プラットフォームと比較した場合の「Virbela」の特徴は、「ビジネス」と「教育」に特化したプラットフォームであることです。
また、単独空間ではなく大きな空間、たとえば町全体を捉えたスケール感のメタバースである点もポイントです。
商品群には企業や大学をまるごとバーチャル化してしまう「Private Campus」をはじめ、オフィス・教室・講堂・ エキスポ会場・コンサートホール等々、ビジネスや教育シーンで活用が期待される多様な空間が用意されています。
石井:まずはリアルオフィスと比較した際の圧倒的な家賃の安さですね。バーチャル空間なので家賃とは言わず、利用料金になるわけですが。
社員200名で利用するリアルオフィスと「Virbela」の「TeamSuite(オフィスタイプ)」との置き換えを例にとってみます。
都内で200名の社員が利用できるリアルオフィスの場合、一人当たり1.5坪程度が必要となる計算で1.5坪/人×200人=300坪程度の広さが必要となります。都内の最低坪単価10,000円をベースに算出すると、300万/月の家賃となります。
それを「VirbelaTeamSuite」に当てはめると、「TeamSuite200」が該当し、その利用料金は286,000円/月と、リアルと比較して約1/10の価格となります。
仮に全国で10拠点の事業所をVirbelaに置き換えたら、ざっくりと年間3億円の経費削減となります。
石井:コロナ禍で失われたコミュニケーションロスの復活もメリットです。
人は基本的に自由を好みます。バーチャルであってもそれは同じだと思っています。
Zoomなどの電話ツールよりも、より情報量多くコミュニケーションできるメタバースのほうが、自由ですので、好まれやすいはずです。独創的な発想も、より自由なメタバース環境からのほうが生まれやすいのではないでしょうか。
今までのテレワークツールにはクローズド型が多く、どうしても一方向の伝達方式が多かったと思います。ゆえに、どうしてもリアル「そのまま」のやりとりができないため、それを補いきれず色々な弊害が出てきてしまっていました。
コロナ禍でよく聞かれた「Zoom疲れ」はまさに典型的な事例だと思います。
その点、「Virbela」はまさに「自由そのもの」で、オープン型のツールです。
「自分から働きかける」、「自由に集う」といった空間や場所を提供できる「Virbela」の活用は、コロナ禍で失われていたコミュニケーションロスを取り戻す最適な手段になり得ます。
石井:また、毎日の業務でメタバースを利用すると考えた場合、いちいちVRゴーグルを装着しなければならないというのは現実的ではないかもしれません。
その点、「Virbela」は高価な VRコーグルなしでも利用が可能なため、PCとWi-Fi環境さえあれば、気軽にどこからでも利用が可能です。
もちろん、VRゴーグルにも対応は可能です。その場合でも、初期設備投資的に比較的安価に導入可能なこともメリットの一つです。
石井:メタバースはご承知の通り黎明期にあり、「Virbela」もその渦中にいます。
「Virbela」はメタバースの草分け的牽引役としてすでに実際の現場で大きな需要にも応えており、学校教育では米国のスタンフォード大学、英国のサンダーランド大学などでも活用されています。
ビジネスの現場でも活用され、10,000人規模のイベント開催の際にも利用されています。
ガイアリンクは2021年7月に本サービスを国内でローンチしたばかりですが、大手製薬会社様や大学、自治体などから問い合わせを多数いただいており、既に実際のイベントを開催していただいたクライアントもあります。
特筆すべきは、他社サービスがβ版等であるこの黎明期において、あるクライアントに利用いただいた際のアンケートで、コミュニケーション満足度85%というありがたい数字をいただいたことです。
日本市場における普及はこれからが本番と捉えていますが、Zoomがそうであったように、その流れは急激に加速するものだと想像しています。
GAIA TOWNについて
石井:当社ガイアリンクは「Virbela」の日本における正式代理店として販売活動をさせていただいております。
その当社が日本ユーザーの皆様に「Virbela」を体験していただくために、日本語対応にてご用意させていただいた専用のプラットフォームが「GAIA TOWN」となります。
住宅展示場を想像していただくとわかりやすいかもしれません。
「GAIA TOWN」アプリのダウンロードとアカウント登録をしていただくだけで、どなたでも無料で「Virbela」を体験可能です。
ご体験していただいたうえでお気に召していただけましたら、お客様専用の有償空間をご検討いただくという流れとなっています。
「GAIA TOWN」にログインをしていただきますと、当社のスタッフが受付に座っておりますので、お困りごとなどすぐその場でお尋ねいただくことが可能です。お気軽に「GAIA TOWN」内にご来場いただければと思います。
2021年12月2日・3日に体験イベントを開催
石井:当社初となる自社イベントを2021年12月2日と3日の二日間かけて開催します。場所はバーチャル空間「GAIA TOWN」内のエキスポ会場です。
「START DX SUMMIT2021」と銘打ち、DXを分かりやすく知り・学び・交流する企画となっています。一般参加者は無料でご参加いただけます。出展者様にも、メタバース内だからこそできる22,000円というお試し価格からご出展いただいております。
「DX(デジタルトランスフォーメーション)」という概念・施策は日本で浸透してきたものの、形骸化してしまっている部分もあり、まだまだ具体的な行動に移せている企業は少ないのが現状です。
サービス提供サイドとユーザーサイドが直接交流する機会が決定的に少なかったのが大きな原因と考えているので、まずは当社でそのキッカケを作ることにしたんです。
DXは環境問題と同じく、国全体で考え取り組んでいかなくてはならない問題。伝える側も受け取る側も全員で、デジタル化によるメリットを考える二日間になればと願っています。
当日のコンテンツは、「①DXに関わる企業の展示会」・「②基調講演」・「③『Virbela』の『TeamSuite』無料利用券などが当たるレクリエーション」という三部構成です。
DXについて知りたい・広めたい、という方はもちろんお越しください。コロナ禍で全国的に花火大会が中止となった背景も鑑み最終日には花火大会も開催予定ですので、「メタバースそのものには興味があるが、まだ何も試したことがない」という方も、是非お気軽に参加していただきたいです。
「GAIA TOWN」では、ユーザーの皆様にも様々なイベントを開催していただいています。当社ガイアリンクも社会的問題を解決するためのコミュニティイベントなどを定期開催していく予定です。時代のターニングポイントにこういったサービスを提供しているわけですから、ある種の使命感も感じています。
石井:「時代の最先端技術は、世論の否定から生まれる」と言われます。
文明開化の時代。福沢諭吉は『学問のすすめ』で「読み」・「書き」・「算盤」を世に推奨しました。当時その教えに目をつけていち早くそのスキルを身に付けた人と、そうでない人の差は、開いていく一方だったでしょう。
それと同じくして、交通機関は「馬」から「蒸気機関」へ、明かりは「ろうそく」から「電灯」へと変わっていきました。
このような時代の変化を的確に捉えていたかそうでないかで、その後の人や企業に対する革新性には顕著な差が出たはずです。
そして2021年現在。メタバースだけでなく、内閣府が提唱する世界像「Society 5.0」内に示されているような、さまざまな革新潮流が現れはじめています。
その変革の速さは、以前の産業革命時とは比較にならないほどです。目も眩むようなスピードで世の中は変化し続けています。「新文明開花の時代」と我々は呼んでいるほどです。
その流れに遅れをとらないために覚悟しなければいけないのは、「チャレンジ精神をもって挑む」ことだと、私は確信しています。「覚悟」といってもほんの少し自分の背中を一押しするだけです。
「Virbela」についても、まずは体験版の「GAIA TOWN」を利用していただき、その価値を実感していただければと思います。
「GAIA TOWN」は無料で利用できます。「まだまだメタバースなんて先の話」などと構えず、まずはお気軽にご体験いただければ幸いです。
当社は既に実際の不動産オフィスを持たず、社員は全員バーチャル空間に出社しており、メキシコから出社している社員もいます。ほぼ9割方のプロジェクトが「Virbela」内で決定され、遂行されています。現実のオフィスのみを利用していては、決してできない働き方です。
出きなかったことができるようになる。まずは「Virbela」を体験していただき、今よりさらに先にあるデジタル社会の「ニューノーマル」のドアを開けていただきたいです。
皆様と「GAIA TOWN」の中でお会いできることを、楽しみにお待ちしております。
(取材協力:
株式会社ガイアリンク 代表取締役社長 石井 秀樹)
(編集: 創業手帳編集部)